適応障害というと、一般的にはメンタル面の問題という印象が強いと思います。
ただ、同じ診断名であっても、
・どんな経過で症状が始まったのか
・以前からどんな不調があったのか
・仕事や生活でどんな負担が続いていたのか
その中身は人によって大きく異なります。
今回は、心療内科での治療を受けながら、身体面からも改善できる部分を探していったケースをご紹介します。
30歳前後の男性会社員。
事務職としてリモートワークをしていましたが、来院時は休職中でした。
大学生の頃から肩こりがあり、巻き肩も指摘されていました。
こりが強くなると、
・眠気
・だるさ
・気力の低下
なども感じるようになり、整骨院などでマッサージを受けていました。
施術後は一時的に楽になりますが、時間が経つと元に戻る状態を繰り返していました。
社会人になってデスクワークが増えると症状は徐々に悪化。
鍼灸や電気治療なども受けるようになりました。
さらにコロナ禍でフルリモートワークとなり、身体を動かす機会も減少。
仕事が忙しくなった1年ほど前からは、
・動悸
・身体の冷え
・強い疲労感
・微熱
なども起こるようになりました。
一般の医療機関では原因がはっきりせず、半年前に心療内科を受診。
「適応障害」と診断され、休職となりました。
来月には職場復帰を予定していましたが、特に起床時の調子が悪く、
「復職して、また同じ状態になるのではないか」
という不安を抱えていました。
心療内科での治療は続けながら、身体面からできることも探したいと考え、当院へ来院されました。
初回のヒアリングでお聞きしたお悩みポイント
☑ 慢性的な首・肩のこり
☑ 起床時の強いだるさ
☑ 動悸
☑ 身体の冷え
☑ 微熱を繰り返す
☑気力が出ない
☑復職後への強い不安
☑ 強いねこぜ傾向
☑ 巻き肩
☑ ストレートネック傾向
☑ 瘦せ型で身体を支える力が弱い状態
☑ 後頭部周囲の緊張
☑呼吸が浅くなりやすい状態
仕事の負担が大きかったことは間違いありません。
ただ、大学生の頃から肩こりやだるさなど似た症状があり、マッサージで一時的に軽減していた経過もありました。
そのため、
「適応障害」という診断名だけを見るのではなく、
・以前からの姿勢
・身体を支える機能
・長時間のデスクワーク
・呼吸
・身体の緊張状態
などが、体調不良を強める一因になっている可能性を考えました。
適応障害そのものを施術で治すという考えではなく、心療内科での治療を継続しながら、身体面で改善できる部分を整えていく。
その方針をご本人にも説明し、施術を開始しました。
頭蓋縫合などが中心に、身体の過剰な緊張を落ち着かせることを目的にアプローチ。
まずは身体がリラックスしやすい環境を作ることを優先しました。
この間に職場復帰。
首の痛みやこりは多少軽減していましたが、
・動悸
・冷え
・気力低下
などは残っていました。
この回から身体を支える支持筋へのアプローチを開始。
自宅で行うセルフケアも指導しました。
全体としては徐々の良好。
仕事を続けながら経過を観察していました。
復職から2か月後、再び症状が悪化。
気力の低下や微熱が続き、再び休職することになりました。
ただし、症状が再熱する可能性については、ご本人・心療内科・当院それぞれで事前に共有していました。
そのため、
「全部振出しに戻った」
という大きなショックにはならず、改めて状態を整えていくことになりました。
仕事から離れたことでデスクワークによる負担が減ったため、施術内容も変更。
身体を強く動かすことよりも、呼吸を中心にリラックスしやすい状態を作ることを優先しました。
その後、
・首肩のこりが軽減
・微熱が出なくなる
・動悸がほとんど起きなくなる
など、徐々に体調が安定していきました。
最後の約3か月は大きな症状がない状態を維持。
メンテナンスを続けたのち、施術を終了しました。
最終的には以前の職場へ復職するのではなく、会社を退職し、フリーランスとして社会復帰する道を選ばれました。
その後も大きな体調不良はなく生活されているとのことです。
首と姿勢の専門家・竹井大介
首と姿勢の専門家・竹井大介
今回のケースで最も大切なのは、
「適応障害を整体院で治した」
という話ではないことです。
適応障害は医療機関で診断・治療されるものであり、必要に応じて心療内科や精神科での継続的なサポートが重要です。
そのうえで、同じ適応障害という診断であっても、身体面にどの程度問題を抱えているかは人によって異なります。
今回のケースでは、
・以前から続くねこぜや巻き肩
・身体を支える力の低下
・長時間のデスクワーク
・慢性的な首肩の緊張
・呼吸の浅さ
といった要素がありました。
こうした身体的な負担が、動悸や疲労感などの不調を強める一因になっていた可能性はあると考えています。
実際、施術だけで全てが一直線にかいぜんしたわけではありません。
一度は復職したものの、再び休職も経験しました。
だからこそ今回は、
「症状を消す」
ことだけではなく、
「この人が無理なく生活できる環境はどこにあるのか」
まで含めて考えることが重要でした。
結果として、以前の職場に戻るのではなく、フリーランスという新しい働き方を選択。
身体の状態も安定していきました。
適応障害や自律神経のような症状で悩んでいる方に対して、整体だけで解決できるとは考えていません。
ただ、医療機関での治療を続けながら、姿勢や呼吸、身体の緊張など、身体面に改善できる余地があれば、その部分を支えることはできます。
診断名だけを見るのではなく、
「その人の身体と生活に、何が起きているのか」
を一つずつ見ていく。
今回も、その考え方が役立った症例だったと思います。
当院のメンタルなどが関連する不調についての考え方をもっと知りたい方は、自律神経失調のページを参照してください。
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