首への強い刺激の後に症状が悪化し、「頚椎ヘルニア」と診断されるケースは実際に存在します。
ただ、この時に重要なのは、
「本当に施術によってヘルニアが発生したのか」
を冷静に考察することです。
強い症状が出ている時ほど、人は原因を単純化したくなります。しかし実際の身体では、もっと複雑なことが起きている場合も少なくありません。
今回はその一例をご紹介します。
50代の男性。小売店を営みながら、趣味でバンド活動も続けています。
以前から首こり・腰痛はありましたが、大きな問題にはしていませんでした。
知人の整体師の施術モデルになることも多く、普段から様々な施術を受けていたそうです。
2年前、いつものように整体を受けていた際、これまで受けたことのない強い首への刺激を受けました。
その直後、一瞬だけ右手に強いしびれが出現。
ただ、その場ではすぐ消失したため、特に気にせず生活を続けていました。
ところが約2週間後、今度は左腕に強い痛みとしびれが出現。同時に首の痛みも急激に悪化しました。
・前かがみ
・首を後ろへ倒す
・同一姿勢
・ひげ剃り
などで症状が強まり、最終的には真っすぐ立つこともゆらい状態に。
整形外科を受診し、MRI検査の結果、
「頚椎ヘルニア」
「骨棘による神経圧迫」
と説明を受けました。
しかし治療は特になく、仕事やバンド活動への不安だけが強まっていきました。
「このままでは生活自体が崩れる」
そう感じた時、以前から友人関係だった僕のことを思い出し、来院されました。
初回のヒアリングでお聞きしたお悩みポイント
☑ 首の強い痛み
☑ 左腕のしびれ・筋力低下
☑ 同一姿勢が保てない
☑ 前かがみ・後屈で症状悪化
☑ 仕事やバンド活動への不安
☑ 強い痛みにより姿勢保持困難
☑ 左右の腕の筋量差
☑ ストレートネック傾向
☑ 首周囲の強い筋緊張
☑ 神経症状が強く、詳細検査が困難な状態
MRIで頸椎ヘルニアの診断は出ていましたが、現時点では
「症状の主因が本当にヘルニアなのか」
までは断定できない状況でした。
まずは、炎症や神経系の過敏状態を落ち着かせ、その後の反応を見ながら判断していく方針を説明し、施術を開始しました。
頭蓋・上位胸郭を中心にアプローチ。
まずは神経系の警戒反応を落ち着かせることを優先。
強い痛みがあるため、市販鎮痛薬の併用も提案。
首・左腕の痛みは大幅に軽減。
一方で、しびれや握力低下は残存。
ここから支持筋へのアプローチとセルフケアを開始。
左腕の力が徐々に回復。
しびれも軽減傾向。
首は「後ろへ倒す」より、「前かがみ」で症状が出やすい状態へ変化。
痛みはほぼ消失。
しびれのみ軽度残存。
楽器演奏も可能なレベルまで回復。
状態が安定したため、不定期メンテナンスへ移行。
現在も数ヶ月に一度のペースで来院されています。
ストレートネック専門家・竹井大介
ストレートネック専門家・竹井大介
今回のケースで重要なのは、
「整体でヘルニアになった」と断定できるわけではない
という点です。
たしかに施術直後に神経症状が出ており、何らかの影響があった可能性は高いと思われます。
ただ、
・元々存在していた変性
・神経系の過敏状態
・炎症反応
・防御反応としての筋緊張
など、複数の要素が重なっていた可能性も否定できません。
実際、このケースでは比較的早期に大部分の症状が改善しており、「強い物理的損傷だけ」で説明するには少し違和感も残りました。
一方で、しびれの残存を見る限り、何らかの神経ストレス自体は存在していた可能性があります。
だからこそ大切なのは、
「診断名だけで決めつけないこと」
です。
強い症状がある時ほど、身体では様々な防御反応が同時に起きています。
その中で、
・今は何を優先すべきか
・どこまで安全に介入できるか
・何が主因なのか
を一つずつ整理していくことが重要になります。
今回は、その整理が上手く嚙み合ったことで、比較的良好な改善につながったケースでした。
頚椎ヘルニアに対する当院の考え方・施術を知りたい方は、
頚椎ヘルニアのページをご覧ください。
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