手のしびれは、首や肩の不調に伴って現れることがあります。
しかし、しびれだけでなく、
「腕が上がりづらい」
という状態まで起きると、日常生活への影響も大きくなります。
今回は、頚椎ヘルニアと診断され、手術の可能性も示された40代男性のケースをご紹介します。
40代男性介護士。
以前は介護現場で働いていましたが、来院時は管理職としてデスクワークを中心に仕事をされていました。
子どもの頃からねこぜ気味でしたが、肩こりなどの自覚はほとんどありませんでした。
ところが2年ほど前、仕事がデスクワーク中心になった頃から、左手にピリピリとしたしびれを感じるようになりました。
同時に、肩こりも強くなっていきました。
特にパソコン作業が長く続いた後にしびれが強まり、寝る姿勢や首を後ろへ倒す動作でも症状が出現。
整形外科でMRI検査を受けたところ、
「頸椎4~6番の間が狭い」
と説明され、薬を処方されました。
しかし、左手のしびれにはほとんど効果がありませんでした。
さらに1か月ほど前から右手にも同じような症状が出現。
右手の症状は薬で改善しましたが、左側は逆に悪化していきました。
しびれは肩の近くまで広がり、ついには腕を持ち上げることも難しくなってしまいました。
大きな病院で再びMRI検査を受けたところ、
「頸椎4~6番のヘルニア」
と診断されました。
より強い薬を処方され、手術の可能性についても説明を受けました。
しかし、ご本人としては、
「できれば手術はしたくない」
「薬もなるべく飲みたくない」
という思いがありました。
一方で、このまま症状が改善しなければ、仕事や将来の生活にも支障が出るのではないかという不安もありました。
そこで、通勤途中に見かけていた当院へご相談にいらっしゃいました。
初回のヒアリングでお聞きしたお悩みポイント
☑ 左手から肩周辺にかけてのしびれ
☑ 左腕を持ち上げづらい
☑ パソコン作業でしびれが強くなる
☑ 寝る姿勢によってしびれが出る
☑ 首を動かすとしびれが強まる
☑薬で左腕の症状が改善しない
☑手術への不安
☑ ストレートネック
☑ ねこぜ姿勢
☑ 巻き肩
☑ 首の前屈・後屈で左肩周辺にしびれ
☑ 胸の筋肉周辺でも神経への圧迫を疑う所見
☑左腕を持ち上げづらい状態
MRI検査では頚椎ヘルニアが確認されていました。
また、首を前後に動かすことで左肩周辺にしびれが出るため、頚椎から出る神経への影響も考えられます。
一方で、胸の筋肉周辺にも神経への圧迫を疑う所見がありました。
腕へ向かう神経は、頚椎から出た後、鎖骨や胸の筋肉近くを通ります。
そのため、手や腕のしびれが必ずしも頚椎ヘルニアだけで起きているとは限りません。
さらに、子どもの頃からのねこぜや、介護現場からデスクワーク中心へ変わった仕事環境もありました。
そこで僕が考えたのは、
「なぜ神経に負担がかかりやすい身体の状態になったのか」
ということです。
ヘルニアそのものを直接変えるのではなく、姿勢や身体を支える機能など、神経に負担をかける可能性のある要素を整えていく。
その方針をご本人にも説明し、施術を開始しました。
まずは身体の過剰な警戒を落ち着かせることを目的に、頭蓋縫合や鎖骨周辺へ微弱な刺激を加えました。
頸椎ヘルニアの診断があるため、頸椎を直接動かすような施術は行っていません。
左腕の動きはかなり改善していました。
以前より腕を持ち上げやすくなったものの、しびれ自体にはまだ大きな変化がありませんでした。
ただし、首を動かした時にしびれが強くなる症状はなくなっていました。
この回から、身体を支える支持筋へのアプローチを開始。
筋肉が適切に伸び縮みできる状態を目指し、セルフケアの指導も始めました。
しびれにも改善傾向が見られるようになりました。
仕事をすると症状が強まることはありましたが、それ以外の時間は比較的安定。
特に、
「寝ていてもしびれなくなったので、楽に眠れる」
という変化がありました。
一時的にしびれが戻ることもありましたが、全体としては徐々に改善。
腕の動きも安定し、仕事や日常生活での支障が少なくなっていきました。
左腕の動き、しびれともにほぼ正常な状態まで改善。
ご本人からは、
「もう薬を必要としていません」
「安心して仕事も生活もできます」
というお話がありました。
その後は来院されなくなったため、正式な卒業ではありません。
ただ、最後の来院時には、当初困っていた腕の上げづらさやしびれが大きく改善していました。
なお、その後の長期的な経過や、ヘルニア自体の画像上の変化については確認できていません。
ストレートネック専門家・竹井大介
首専門整体師・竹井大介
今回のケースでは、頸椎ヘルニアという明確な診断がありました。
しかし僕が重視したのは、診断名だけではありません。
「なぜ神経に負担がかかるような身体の状態になったのか」
という点です。
今回のケースで、
・子どもの頃からねこぜ姿勢
・ストレートネックや巻き肩
・デスクワーク中心への仕事環境の変化
・身体を支える筋肉の働き
・首だけでなく胸の筋肉周辺でも神経への圧迫を疑う所見
といった複数の要素がありました。
腕へ向かう神経は、頚椎から出た後も、さまざまな筋肉や骨の近くを通ります。
その途中で神経が圧迫される問題として、胸郭出口症候群なども知られてます。
今回の方も、頸椎ヘルニアだけでは説明しきれない身体的な負担があった可能性を考えました。
また、腕を持ち上げづらいという症状も重要です。
単なる肩こりや痛みだけではなく、神経による筋力低下が関係している可能性もあるため、医療機関での評価が欠かせない症状です。
そのうえで、身体を支える筋肉が十分に働かず、別の筋肉がその働きを補っているのであれば、首や肩周辺への負担はさらに大きくなる可能性があります。
今回は、そのような身体の環境を整えることを目指しました。
興味深かったのは、改善の順番です。
最初に腕の動きが改善し、その後、しびれが徐々に落ち着いてきました。
つまり、腕の動きとしびれが必ずしも同じタイミングで変化したわけではありません。
もちろん、施術によって頸椎ヘルニアそのものが改善したとは言えません。
また、手術の必要性は画像所見だけでなく、筋力低下などの神経症状も含めて医師が判断するものです。
今回のケースでは、医療機関で診断された問題を踏まえながら、身体の使い方や支持機能など、僕が対応できる部分に着目しました。
病名のついた場所だけを見るのではなく、なぜその場所に負担が集中するようになったのか。
そこから身体全体を考えることが、今回の施術では大切だったと思っています。
当院の頸椎ヘルニアに対する考え方や、施術をもっと知りたい方は、頚椎ヘルニアのページを参照してください。
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