首の痛みの中でも、日常生活への影響が大きいのが「振り向く」という動きです。
運動学では、「回旋」と呼ばれる動きですが、
「後ろから呼ばれても振り向けない」
「自転車で後方確認するのが怖い」
となれば、単に首が痛いというだけでは済みません。
今回は、1年ほど続く首の動きの痛みによって、自転車での通勤にも不安を感じていた60代女性のケースをご紹介します。
60代の女性。
長年、アイロンをかける立ち仕事に従事されていました。
もともと肩こりや首こりの自覚はありませんでしたが、美容院などで肩を触られると、
「ずいぶん硬いですね」
と言われることが多かったそうです。
また年に1~2回ほど、右肩に「気持ち悪い」と感じる違和感が出ることはありましたが、特に治療をしなくても自然に改善していました。
10年ほど前から現在の仕事を始め、下を向いて作業する時間が増えましたが、それでも長い間、大きな問題はありませんでした。
ところが1年ほど前から、首を動かした時に右側へ痛みを感じるようになりました。
特に困っていたのが、
・呼ばれて振り向く
・うがいで上を向く
・自転車で後方確認をする
といった日常的な動作です。
特に自転車は毎日の通勤で使用していたため、後ろを確認しづらいことで事故への不安も感じていました。
思い当たることとして、その少し前からスマートフォンのゲームに夢中になり、何時間も続けてプレイする生活になっていました。
しかし、アプリを削除してゲームをやめても、首の痛みは改善しませんでした。
整形外科ではレントゲン検査を受けましたが、
「骨に異常はない」
「巻き肩だ」
と説明され、その後の治療はありませんでした。
整体でマッサージや首を引っ張るような施術も受けましたが、ほとんど変化なし。
そんな時、自宅に当院のチラシが入りました。
「首が痛い時に、首専門のチラシが入った。これは運命だ」
そう感じたことをきっかけに、当院へ来院されました。
初回のヒアリングでお聞きしたお悩みポイント
☑ 振り向いた時の右首の痛み
☑ 上を向いた時の首の痛み
☑ 首を動かせる範囲が狭い
☑ 自転車で後方確認するのが怖い
☑ 1年ほど症状が改善していない
☑ 首の動きに痛みと強い可動域制限
☑ 首・肩周囲の強い筋緊張
☑ 瘦せ型で身体を支える力が弱い状態
☑ 長時間の下向き姿勢が多い生活環境
☑ 首周囲の筋肉が過剰に頑張っている状態
Oさんの場合、これまで肩こりや首こりの自覚はほとんどありませんでした。
しかし実際に身体を確認すると、首や肩周囲の筋肉はかなり緊張していました。
また瘦せ型であることから、身体を支えるために首周囲の筋肉が必要以上に働いている可能性も考えました。
動かした時に起きる痛みそのものと、筋肉の緊張を同じ問題とは考えませんでしたが、痛みが長期間改善しない背景には、この筋肉の状態も関係している可能性があります。
そこで、まずは首を動かした時の痛みに対応し、その後、症状を繰り返しにくくするために身体を支える機能も整えていく方針を説明。
ご本人にも納得いただき、施術を開始しました。
初回の施術直後は、
「少し首が動かしやすくなった」
という程度の変化でした。
大きく症状が変わったという実感はありませんでした。
ご本人の感覚としては、それほど大きな変化はありませんでした。
しかし改めて首の動きを確認すると、検査で行う単純な動作での痛みはすべて消失していました。
この回から、首や身体を支える筋肉へのアプローチを開始。
自宅で行うセルフケアも指導しました。
首の痛みは徐々に改善。
仕事が忙しかった時や、テレビを不自然な姿勢で長く見ていた時など、一時的に痛みが強くなることはありました。
ただ、全体としてみると、
「痛くなる回数が減っている」
「痛み自体も弱くなっている」
という変化をご本人も実感するようになりました。
首の痛みはほとんど気にならない状態まで改善。
自転車で後方確認する際にも、以前のような怖さを感じなくなりました。
状態が安定したため、月1回程度のメンテナンスへ移行。
その後は別の部位の不調に対応することもありますが、首の痛みは再発していません。
現在では通院歴も数年となっています。
「怖さを感じずに自転車に乗れることが、こんなにありがたいとは思わなかった」
そう話されるほど、日常生活での不安もなくなりました。
首と姿勢の専門家・竹井大介
首専門整体師・竹井大介
今回のケースで特徴的だったのは、
「首が痛い」
だけではなく、
「振り向けないことで日常生活に危険を感じていた」
という点です。
首を振り向く動作は、普段それほど意識するものではありません。
しかし、
・自転車で後方確認する
・車を運転する
・後ろから呼ばれて振り向く
・周囲を確認する
など、実際には日常生活のさまざまな場面で使っています。
今回のケースでは、
・1年ほど続く首の動きの痛み
・首の可動域制限
・首肩周囲の強い筋緊張
・身体を支える力の低下
・仕事やスマホによる長時間の下向き姿勢
など、複数の要素が重なっていました。
スマートフォンのゲームを始めた時期と症状が出始めた時期は近かったものの、ゲームをやめても痛みは残りました。
そのため、
「スマホをやめれば治る」
という単純な問題ではなかったと考えています。
また、首を動かした時の痛みが改善した後も、筋肉や身体を支える機能へのアプローチを続けました。
痛みを一時的に減らすだけでなく、同じ状態を繰り返しにくい身体の環境を作るためです。
寝違えのような首の痛みであれば、時間とともに自然に改善することもあります。
しかし数ヶ月、あるいは年単位で残り、
「振り向けない」
「上を向けない」
「後ろを確認するのが怖い」
と日常生活に影響しているのであれば、単に痛い場所だけではなく、なぜその状態が続いているのかを考える必要があります。
首を動かす痛みでお悩みの方は、「どこが痛いか」だけではなく、「どんな動きができなくなっているのか」という視点でも身体を見てください。
当院の首の痛みに対する考え方や施術をもっと知りたい方は、首の痛みページを参照してください。
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