五十肩症状は、炎症が起きる→炎症が引いて硬くこわばる→治る、という一連の流れを、ゆっくりと時間をかけて結果していくケースが多いです。
切り傷ができた時に、いくらがんばって治そうとしても、かさぶたができて、かさぶたが剥がれて治るスピードを速めることはできません。五十肩症状の炎症においても、同じことが言えます。
ですから、五十肩症状が発生した時に、肩関節自体に対するアプローチだけで短期間に改善をしようとするのは無理があります。
ですが、肩の動きに関与するのは肩関節だけとは限りません。身体全体のバランスを解剖学・運動学的な見地から検証すると、身体の他の部位が肩関節に与える影響は決して小さくなく、他の部位からのアプローチによって五十肩症状を改善を早めることは十分に可能だと考えています。
特に、自分で五十肩を改善したいと考えた時は、肩関節自体よりも他の関連する部位からアプローチする必要があります。
このページでは、五十肩症状に対してご自宅で実践可能なセルフケア・コンディショニングをご紹介していきます。
整形外科などでレントゲンを撮り「五十肩です」と診断されてショックを受けた方は多いと思われます。
ここで、声を大にして言います。
「五十肩の診断名だけでは何も分かりません!」
まず、レントゲンに移るのは骨だけです。筋肉や関節といった柔らかい組織は写りません。レントゲン上で確認でききるのは、肩関節の石灰化(カルシウム沈着)や、インピンジメント症候群(肩の腱が上腕骨と鎖骨の間で圧迫されて起こる痛み)くらいのもので、実際に何が起きているのかは詳しくは分かりません。
にもかかわらず、肩の痛みや挙がりにくさを訴えて病院を受診すると、レントゲンを撮っただけで「五十肩です」と診断されるケースが実に多いです。
このような診断は「バスケットネーム(くずかご的診断名)」と言われます。要は「ちゃんと調べないけど、とりあえず付ける診断名」ということで、正式な診断名ではありません。
肩関節付近の痛みは、五十肩だけではなく腱板(腕を肩からぶら下げる筋肉)の炎症、損傷、断裂、上腕二頭筋の炎症、肩の滑液包(関節を包む袋)の炎症、偽の五十肩(一時的な筋の緊張)など、実にさまざまな疾患があります。その中に、狭義(狭い意味での)五十肩も含まれるのです。当然、原因が違えば施術方法もすべて違ってきます。
ですから、レントゲンだけを撮って「五十肩です」と言われても、それだけでは何も分からず、もっと違う面から調べていかないと「本当の原因」は分からないのです。
レントゲンで五十肩と診断された方は、「治るまでに時間がかかります」と言われ、痛み止めや炎症止めのお薬、シップ、クリーム…痛みの改善が見られず、苦しい日々を過ごしているのではないでしょうか。
ここで再び、疑問を発してみます。
「骨しか写らないレントゲンを基準に診断しているのに、どうして痛み止めやシップを施術方法として用いているの?」
レントゲンを撮って「骨に異常が無い」と判断し、「五十肩です」と診断しているのかもしれませんね。では、どうしてそれ以上は調べないのでしょうか?
調べもしないのに、施術方法を提示することができるものなんでしょうか?
痛み止め、シップ、塗り薬のクリームなどは、基本的には「痛みをとる」ためだけに使用されるものです。治すための、原因にアプローチするための手段ではありません。
つまり、五十肩症状における整形外科の対応とは「骨に異常が無ければとりあえず五十肩だから、痛みを和らげて様子を見ておけばいいんじゃないか」という程度だということです。
五十肩症状において整形外科に通うということは、残念ながらそのレベルでしかありません。ですが、レントゲンという、いわば「盲目的に」信じ込まされてしまう絶対的な診断装置があるため、多くの方がそれを信じ、そして五十肩症状で悩み続ける方が後を絶たないわけです。
セルフケアをおこなう前に、あなたの今の五十肩が症状がどのようなものかを確認しましょう。下記のような五十肩症状の場合は、かえって痛みを悪化させることがあります。そのような五十肩症状の場合はご注意ください。
注意:姿勢さえ痛みなく維持できるなら、どのステップからおこなっても構いません。
新しいステップに移る際、その動きや姿勢に強い痛みなどを感じる時は、痛みが軽減するまで他のステップを続けておこなうようにしてください。
やり方
①肩が痛い方の指を、反対側の指を使って、一本ずつ伸ばす方向に反らしていきます。痛い側の指はできるだけ力を抜きます。
②他の指と比べ、明らかに動きが悪い(硬くて反らしにくい)指を探します。
③動きの悪い指を、ゆっくりと反らしストレッチをかけます。
④動きの悪さが改善するまで、繰り返します。
解説
指の筋肉は、腕全体を動かす動きの種類によって、特定のグループ分けをされて、肩や首の筋肉と、筋膜という薄い膜でつながっています。
日常生活で実際に腕を使うときは、肩やひじ・手首や指が単体で動くことはありません。動きの目的に合った筋肉が共同して動作にあたります。
肩関節の動きを指の筋肉が代償しているケースはよく見られます。動きの悪い筋肉を改善してあげることで、指自体だけでなく肩関節など上肢の動きの改善につながります。
ポイント
・ボキボキと鳴るほど強くストレッチはしないようにして下さい。また、素早く動かすよりゆっくり動かしてください。
・硬い指は何本でもアプローチして構いません。もし硬さがよく分からなければ、指全部をストレッチしても構いません。
やり方
①キッチンなど、テーブルと椅子がある場所でテーブルに向かい腰かけます。
②痛い方の腕はテーブルに乗せ、肩や胸の緊張を完全に抜き去ります。。
③反対側の手で、痛い肩側のバスト横を優しく掴みます。
④時計回り→反時計回りの方向に10回ずつ、優しくゆっくりと回します。
解説
胸の筋肉=大胸筋は、肩や腕の筋肉と強固な連結を築いています。両者は拮抗する緊張関係にあり、大胸筋が緩むと肩関節の可動域に大きな変化をもたらします。
ポイント
・緊張をしっかり抜いてからアプローチしたいので、腕を垂らした状態や急な角度にキープしないようにしましょう。
・掴む力は強すぎないようにしましょう。しっかりと掴むが、痛くない程度がベストです。
肩こりにきくセルフケアですが、五十肩にも有効です!
やり方
①バスタオルを硬めに巻いて棒状にします。
②胸の真ん中に、バスタオルの棒を縦に当てます。
③ベッド、布団、床などにうつ伏せに寝ます。
④深呼吸をします。息を吐く時に、自分の体重でタオルに胸がズブズブ沈んでいく感覚を意識します。
⑤5回繰り返します。
解説
背中の筋肉も、ふくらはぎと同じように腰と連動して身体を真っ直ぐに保ち、前かがみになった時に緊張して身体が前に倒れるのを防ぐための筋膜でつながっています。
特に背中は姿勢保持の役割が強く、動きが少ない傾向にあります。そのため、同じ動きをしていてもあまり動かず、結果として運動率が肩関節に大きくかかってしまい、五十肩症状を悪化させる要因になります。
背中の動きを活性化させることによって、同じ動きをしても全体がスムーズに動くようになり、肩関節にかかる負担が軽減し、五十肩症状を予防・改善することにつながります。
ポイント
・うつ伏せの姿勢がつらい時は、ステップ①②に戻って毎日続けて下さい。問題が起きなくなってから再開するようにしましょう。
・ベッドや布団が柔らかくて刺激がうまく伝わらない時は、タオルの下に図鑑など大きめの本を敷いていただけると安定します。
*背中のコリにきくセルフケアですが、五十肩にも効果的です!
根本改善はリハビリに似ています。日々の変化は少なくても、コツコツと毎日積み重ねていったものが最終的に大きな力になります。特に五十肩症状は、期間が半年~一年と長期にわたるケースが珍しくなく、特に継続したアプローチが必要になります。ですから、少しでも効果を感じたなら、毎日続けることが重要です。
最低でも1ヶ月以上、続けるようにしてください。
竹井 大介(たけい だいすけ)
柔道整復師、AKSテレ療法®認定セラピスト、整体師。
2011年、東京都大田区大森にて、首専門の施術院「さくら整骨院」を開業。ストレートネック、頸椎ヘルニア、スマホ首、首痛、頭痛、目まい、吐き気、手のしびれ・麻痺、自律神経失調症、メンタル疾患など、首に関する重篤な疾患を数多く手がけ、改善させてきた実績を持つ。
プライベートではロックDJや小説家の顔を持つ、異色の施術家。
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