最近、首の痛みが特にひどい。前はこんなじゃなかったのに…。
何だか身体の調子も悪いし。
そういえば、ここんとこスマホを使う時間が増えたかも。
「これって、スマホ首のせいなの?」
と、考えたあなた。
スマホ首を改善するためには、スマホ首を「知り」「対策する」ことが必要です。
ともすれば言葉だけが独り歩きしている「スマホ首」。
しっかり理解し、対策を立てることで、改善を目指しましょう。
「スマホ首」「ストレートネック」「ねこぜ」この3つの状態は、しばしば混同した状態で用いられています。正確な定義があるわけではありませんが、このように理解しておくと分かりやすいです。
・スマホ首…「スマホっ首」と記される場合もあります。スマートフォンを長期間使い続けていることで、頭が前に突出し、首や肩のコリをはじめとしたさまざまな不調を呈する「症状名」です。正確な病名ではありません。
携帯電話が普及する前も「大量に本を読む」「一日中書き物をする」などの趣味や職業の方 にはみられる症状でしたが、スマホの浸透により一気に現代病の一つになりました。
・ストレートネック…頸椎(7個ある首の骨)の湾曲が弱まり、棒状になった「状態」を示し ます。症状名ではなく、また医学的な言葉でもありません。
頸椎全体が真っすぐになった状態と思われがちですが、実際には頸椎の下部は屈曲(前に曲 がる)、上部は伸展(後ろに反る)状態になります。
ストレートネック=頸椎がストレート化した結果、スマホ首の症状を呈することがよくあります。
・ねこぜ…首に限らず、身体が前方に丸まっている「状態」を示した言葉です。症状名ではな く、また医学的な言葉でもありません。
スマホ首が「スマホの過度使用」という後天的な原因であるのに対し、ねこぜは先天的な原 因であるケースが多くみられます。
使い分け「もともとねこぜ気味だったが、ここ数年スマホの使用時間が増え、首や肩が張って、いわゆるスマホ首という状態になった。病院を受診し、ストレートネックと言われた。」
「スマホの使い過ぎで首が前に出ちゃうんでしょう?」
皆さんがそのように考えるのは無理のないことです。
が、スマホ首の病理については、多くの医師や施術家までも同じような素人的捉え方をしているのが現状です。
スマホ首とは「視線を下に向けるための身体の工夫」です。複雑なロジックを経て発生するもので、全てを記すと大変な量になってしまいますが、ざっと羅列すると
①眼球を下方に動かす筋の過緊張
②神経頭蓋(上あご以上の頭蓋骨)の緊張(動かない)
③後頭骨-第1頸椎、第1-第2頸椎の緊張(動かない)
④第2頸椎以下の動き(上位の頸椎に対し下位の頸椎が後方に動くイメージ)
⑤上位胸椎の動き(首だけではまかなえない)
⑥頸椎前弯の減少(ストレートネック化)
⑦頭位が前方に変位する→スマホ首の完成
と、なります。もちろん、ここに頸部や頭、背中を取り巻く筋肉の緊張・偏移が起こります。
いかに複雑なプロセスを経て、スマホ首が起きているかお分かりいただけるかと思います。
「スマホ首」と聞くと、首や肩の痛み・コリが思い浮かぶでしょう。しかし、実はスマホ首の症状はそれだけではありません。問題は多岐にわたり、放置すると重篤な症状に繋がるケースもあります。
以下、一部をご紹介します。
・顎関節症…頭位の前方偏移により、舌骨(喉仏の骨)の前後に走る筋肉が慢性的に緊張します。それらはあごの関節の開閉に関与するため、噛み合わせが悪くなりあごの痛みや違和感、ガクガクした感覚が発生します。意識しないと口が半開きになるのも特徴の一つです。
・頭痛、目まい、吐き気…頸椎ストレート化による肩こり、首こりに伴って発生します。
・二重あご、たるみ、おでこのシワ、ほうれい線の増加…全体に老けた印象になります。
・小脳機能減退…頭位の前方偏移により、小脳がストレスを受けるため、的確な上肢の動きや下肢の安定をはかることが難しくなります。手の動きがぎこちなかったり、すぐ物を床に落としたり、段差のないような場所でもつまづきやすくなったりします。スクワットをすると足の指が浮きあがるのが特徴です。
・冷え性…頸椎ストレート化により中枢神経圧迫が起こるため、体内恒常性が不安定になり体温を維持する機能が減退し、冷えやすくなります。
・筋力機能亢進…中枢神経圧迫により、筋肉の動きを制御する力が働かず、常に身体に力が入っているような状態になります。不定な痛みや疲れのもとになり、マッサージなどを受けるとかえって痛くなったりします。膝蓋腱反射(かっけの検査)で、ひざが大きく動くのが特徴です。
・腰痛、坐骨神経痛、下肢痛…やはり中枢神経圧迫により、身体の動きを統制する固有受容器の働きが鈍化します。身体をうまく使えないため筋肉の緊張が強まり、姿勢バランスを崩して腰痛や下肢痛の原因になります。悪化すると椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に発展することもあります。
ここまで読んで、「ワタシの症状、スマホ首かも!」と思ったあなたが、まず最初に思うのは「自分で何とかできないかな?」と、自分での改善をはかることではないでしょうか。
スマホ首は、自分で対策することが可能です。が、その方法を間違えると、かえって悪化させるケースも多々あります。正しい知識を得て、確実に対処しましょう。
「やるべきこと」の前に、「やってはいけないこと」を理解しましょう。それは、
「首を前に倒すストレッチ」
です。
この、誰もがついやりがちな動きは、伸びて硬くなった首の後ろの筋肉を「さらに伸ばす」動きになります。その場では気持ち良さを感じますが、長期的に見ると症状を悪化させることにつながります。
絶対にやらないようにしましょう。
ここでは、セルフでスマホ首改善をすすめるためのグッズをご紹介します。
円柱状のクッション性の強い枕です。
ストレート化した頸椎の正常な湾曲を人工的に改善し、周りの筋肉にストレッチ的な効果を与えます。
あお向けに寝た状態で首の下に差し入れ、5~10分その姿勢を維持します。1日に1~2回おこないます。(長時間の使用はかえって首を痛める可能性がありますので、ご注意ください)
整骨院や整体院で購入することができますが、バスタオルを円柱状に巻くことで代用できます。
巷では「ストレートネック改善に効果的」「首の痛みを改善する」という治療用の枕やマットレスが多く存在します。
確かに、これらを使用することによって症状の改善をみる方も多くいらっしゃいますが、同時に「かえって悪くなった」という方も多く存在します。
ストレートネックに限らず、悪くなった身体の形態は人によって様々であり、寝る時の体重のかかり方も、どの部位にどのような負荷がかかっているかは個人差があります。画一的な商品によって、全ての方が改善するということはあり得ません。
「自分に合った枕やマットレスを探す」より、まずは「自分の身体を枕やマットレスに合わせる」ための施術やセルフケアを先行し、ある程度の改善をみてから枕やマットレスを検討する方がベターな改善につながると考えます。
セルフケアだけではなかなか改善しない。
そう感じた時、どこへ行けばスマホ首の改善を得ることができるでしょうか?
代表的な施設と対処法をまとめます。
スマホ首になった時、「まずは病院を受診してレントゲンを撮ってもらおう」と考える方は多いと思います。
ここで注意したいのは、整形外科に「スマホ首」という診断はありません。
レントゲンによる検査を経て、口頭では「ストレートネック」と言われ、診断名には「頚椎症」という病名がつくのが一般的です。
治療としては「痛み止めの薬(飲み薬・塗り薬)」「筋弛緩剤」「シップ」などが処方されることが多く、病院によってはリハビリ室でマッサージ的な施術をおこなうこともあります。
重症な場合はブロック注射などの強い鎮痛薬が投与されます。手術などの処置は「頸椎ヘルニア」などの疾患が見つかった場合に提案されることが多いようです。
「スマホ首」に対する施術というよりは「目の前の痛み」に対処するアプローチがメインになります。
「痛い箇所を揉みほぐしてもらえば楽になるかも」という発想は分かりやすいです。
マッサージ院は国家資格、その他の「もみほぐし」や「クイック」などは民間資格になりますが、資格の有無と技術レベルの高さは必ずしも一致しません。
その場での気持ち良さや「良くなった気がする」という感覚は得られますが、長期的に見た場合には、一番効果を得られるのは施術直後で、あとは徐々にまた痛みや症状が元に戻っていくケースがほとんどです。
とりあえずスッキリしたい、短期的なリラクゼーション効果を得たい場合にはおすすめですが、長期的に「治していきたい」と考えた場合には疑問符がつきます。
整骨院本来の保険適用範囲は「2週間以内に(業務外で)発生した骨折・脱臼・ねんざ・打撲・挫傷の治療」に限られます。そのため、「スマホ首の施術」では、厳密には保険知己用の範囲にはなりません。
保険適用の問題をクリアしても、慣習的に健康保険の範囲内で行われる施術は、短時間かつ簡略的・対処的であることが多く、「スマホ首への根本改善」には程遠いことが多いと思われます。
多くは電気治療、およびマッサージに準じた施術が用いられるようです。
「自費の整骨院ってスマホ首にはどうなの?」
「整体ってスマホ首に効くの?」
「鍼灸ってスマホ首に効くの?」
そのような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
その答えは
「施術内容よりもコンセプトによる」
です。
スマホ首に限らず、施術の方法やテクニックは、あくまで「目的」を達成するための「手段」に過ぎません。
その整骨院や鍼灸院・整体院が、スマホ首に対して「どのような目的」で施術をしてくれるのかが重要になります(対処的な施術なのか根本改善の施術なのか、など)。
あなたが自分のスマホ首に対して何を求めているのか、そしてその整骨院・鍼灸院・整体院が、あなたの望みをかなえてくれるコンセプトを掲げているのか。
しっかりと院のコンセプトを把握したうえで、施術を受けることをおすすめいたします。
竹井 大介(たけい だいすけ)
柔道整復師、AKSテレ療法®認定セラピスト、整体師。
2011年、東京都大田区大森にて、首専門の施術院「さくら整骨院」を開業。ストレートネック、頸椎ヘルニア、スマホ首、首痛、頭痛、目まい、吐き気、手のしびれ・麻痺、自律神経失調症、メンタル疾患など、首に関する重篤な疾患を数多く手がけ、改善させてきた実績を持つ。
プライベートではロックDJや小説家の顔を持つ、異色の施術家。
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