新型コロナウイルスの影響によって、オフィスでの仕事を制限され、在宅ワーク・テレワークとして自宅で通常の業務をおこなうケースが増えています。
そして、在宅ワーク・テレワークが長引くにつれ、身体の痛みなどの不調を訴える方が増加しているのです。
具体的に、どのような症状なのか。
原因は何なのか。
対策、解決策はあるのか。
「自分のことかも?」と思った方は、ぜひ読み進めてみて下さい。
在宅ワーク・テレワークによる不調の内容は多岐にわたりますが、主にこのような症状があります。
・首痛、頭痛、目まい
・肩こり
・あごの痛み、クリック、違和感
・背中の痛み、腰痛
・ひざの痛み
・疲れやすさ、身体の重さ
・冷え性の悪化
もともとあった症状が悪化するケースもあれば、今まで感じたことのない症状が出現しているケースもあります。
在宅ワーク・テレワーク開始1~2週間後から出現し始め、1ヶ月後くらいで顕著になるケースが多いようです。
上記のような症状が在宅ワーク・テレワークにおいて発症しやすい条件としては、「事務机の無い環境でのPC作業」が上げられるようです。
パソコン用のデスクおよびチェアーがある家庭であれば、ある程度オフィスと同じ仕事環境の水準を保つことができます。
しかし、単身者やノートPCのみ保有している家庭などでは、パソコンを長時間にわたって使用する想定での家具選びをしておらず(またはスペースがなく)、今回のような在宅ワークにおいては
「ベッドやソファーに座ってのPC作業」
「ベッドやちゃぶ台にPCを置いて、床に座ってのPC作業」
「壁にもたれながらのPC作業」
「あぐら、正座、横座り、長座でのPC作業」
などを長時間にわたり続けている傾向にあります。
このような方が、在宅ワーク・テレワークにおける痛みなどの症状を訴えやすいタイプになります。
上記のように、在宅ワーク・テレワークにおける痛みなどの不調が発症しやすい理由は、「事務机の無い環境でのPC作業」になるようです。
では、具体的にその環境では、身体に何が起きているのでしょうか?
実にさまざまなことが起きているので全ては記述できませんが、主なものを挙げると
・筋力低下…通勤・社内業務での運動量と比較しても、在宅での運動量はかなり落ちる傾向にあります。
そのため、運動不足から筋力低下を引き起こします。弱くなった筋は硬く縮こまるため、結果として痛みを引き越す要因となります。
・前かがみ姿勢の増強…事務机や椅子が無い環境は、ある環境と比較しても姿勢の悪化は避けられません。具体的には、ベッドや床に座ることで骨盤が後傾位(後ろ向きに傾く)になりやすく、そのため上半身はバランスを保つために無理に前傾(前に傾く)します。
結果として前かがみが強くなり、その姿勢を維持することで腰痛や首痛といった症状を強めることにつながります。
・股関節の硬化…椅子に座る姿勢と比べても、あぐらや長座、正座といった姿勢では、股関節はさらに無理な形での維持を長時間強いられることになります。
結果として股関節まわりの筋肉が硬くなり、骨盤の支持力が低下します。そのため、身体をうまく支えられず、肩こりや腰痛を引き起こすもとになります。
在宅ワーク・テレワークの痛み症状の方を、当院で一定数調べたところ、興味深いことに、程度の差はあれ「スマホ首」の状態を呈している方が非常に多くみられました。
確かに、もともとヘッド・フォワード(首が前に出ている状態)が強いスマホ首の方が在宅ワークを強いられれば、正常な姿勢の方よりも発症率は高くなります。
この場合、スマホ首の施術を優先した方が治癒までの道は早まる可能性があります。
自分がスマホ首かどうか気になる方は、リンク先のページに記載されている検査をおこなってみてください。
コロナウイルスの収束が見えない現状において、在宅ワーク・テレワークも長期化の可能性を大いにはらんでいます。
自分でできる限りの対策をとり、少しでも快適に生活を送るための工夫が必要です。
以下、対策法を列挙します。
・PC作業環境の改善…症状を引き起こす原因を除去するため、「腰かけてPCをする」ための環境を整えることも大事です。
本格的なデスクセットは、スペースや予算の関係で用意できる家庭は限られると思いますが、折り畳み式のテーブル付きチェアなどもありますので、まずはそういった家具を新調することで、作業環境を整えることが大事です。
・食事の改善…運動量が減るということは、消費カロリーの減少を意味します。また、動かないために筋量も減少傾向になり、かわりに脂肪が蓄積します。
消費エネルギーを必要としないので、炭水化物の摂取量を抑え、代わりに筋肉の材料であるたんぱく質を多く摂る必要があります。
「事務仕事も筋力が必要」と認識することが大事です。
・徹底した時間管理…作業環境が悪い中でのPC仕事は、短期間で身体にダメージを与える可能性があります。
いつものペースで作業せず、タイマーなどでしっかり時間を区切り、こまめに休憩やストレッチなどをするようにしましょう。
うまく時間調整ができない方は、作業環境を整えることをおすすめします。
注意:必ず「この順番で」おこなってください。新しいステップに移る際、その動きに強い痛みなどを感じる時は、痛みが軽減するまで前のステップまでを続けておこなうようにしてください。
やり方
その1
①ベッドあるいは布団、床の上にあお向けに寝ます。
②足先でバイバイをするように、股関節を外側に開いたり、内側に閉じたりします。足先から動かさないように注意して、10回ずつおこないます。
その2
①両足の裏を合わせて座り、両手で両足を掴みます。
②ひざをパタパタと上下に動かします。蝶が羽ばたくように軽く、10回ずつおこないます。
解説
股関節の柔軟性を改善することで、骨盤の支持力が回復します。骨盤は上半身を支える役割を果たしているので、上半身の安定性が高まり、身体が前に流れにくく、痛みを引き起こす要素が減って症状の改善につながります。
やり方
①立位または座位
②片方の手でおなか、もう片方の手で腰に触れます。
③大きく息を吸い、吐く時にお腹と背中にあてた手で軽く圧を加え呼気を促進します。
④10~20回繰り返します。
解説
前かがみ姿勢を増強させる要素の一つに、「腹圧の低下」が上げられます。腹圧とは筋力によって維持されているおなかの中の圧力で、これが弱まると胸郭(肋骨と背骨)が前方に下がり、結果として前かがみ姿勢が増強されます。
このセルフケアは、腹膜を包んでいる腹横筋という筋肉を鍛えるトレーニングです。腹横筋は腹圧に最も大きく関与する筋肉といわれています。
腹横筋を筋力アップさせることにより、前方からの体幹支持力が上がり、前かがみ姿勢に対抗することができます。
やり方
①バスタオルを硬めに巻いて棒状にします。
②胸の真ん中に、バスタオルの棒を縦に当てます。
③ベッド、布団、床などにうつ伏せに寝ます。
④深呼吸をします。息を吐く時に、自分の体重でタオルに胸がズブズブ沈んでいく感覚を意識します。
⑤5回繰り返します。
(ベッドや布団が柔らかくて刺激がうまく伝わらない時は、タオルの下に図鑑など大きめの本を敷いていただけると安定します)
解説
腹圧と並び、胸郭の柔軟性・安定性は前かがみ姿勢の抑制に大きな影響を与えます。
胸郭を構成する要素の中に、肋骨と胸骨をつなぐ肋軟骨があります。肋軟骨は呼吸時に間質液(水分)の出し入れをおこない、柔軟性を保っています。
タオルと呼吸を使って、この出し入れを促進してあげると、肋軟骨の柔軟性も高まり、胸郭全体の可動性が高まります。さらに胸郭に付着する筋肉もまとめて緩むため、上半身の制御が容易になり、前かがみ姿勢に対抗することができます。
根本改善はリハビリに似ています。日々の変化は少なくても、コツコツと毎日積み重ねていったものが最終的に大きな力になります。ですから、少しでも効果を感じたなら、毎日続けることが重要です。
在宅ワーク・テレワークが続く間は継続するのが理想ですが、最低でも1ヶ月以上、続けるようにしてください。
竹井 大介(たけい だいすけ)
柔道整復師、AKSテレ療法®認定セラピスト、整体師。
2011年、東京都大田区大森にて、首専門の施術院「さくら整骨院」を開業。ストレートネック、頸椎ヘルニア、スマホ首、首痛、頭痛、目まい、吐き気、手のしびれ・麻痺、自律神経失調症、メンタル疾患など、首に関する重篤な疾患を数多く手がけ、改善させてきた実績を持つ。
プライベートではロックDJや小説家の顔を持つ、異色の施術家。
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